毎年恒例の「WORLD CLASH 2K2」が今年もN.Y.のAMAZURAで10月12日に開催した。
恒例のdancehallreggae.comのサイトからは「ワールドクラッシュ2002 レビュー」が今年も掲載されたのでその翻訳したものをここで紹介したいと思います。
昨年と同様、今年もクラッシュのルールやその他諸々、不透明な部分もあったようですが・・
まずはプレイする順番から・・・
1st. Tony Matterhorn(ジャマイカ)
2nd. Matsimela(トリニダート)
3rd. Rebel Tone(カナダ)
4th. Sound Trooper(ジャマイカ)
5th. King Agony(ニューヨーク)
6th. Red Spider(ジャパン)
7th. Bass Odyssey(ジャマイカ)
▼First Round...
まずは1番手のMatterhorn。
MCなしのスタイルで最初にJohnny Killerのチューンをかける。
1チューンを20秒くらいずつ淡々と流し、AMAZURAの会場内を最初からマショップさせる。
BujuやBeenie, Bounty...からCUTTY RANKSまで、ほとんどビッグアーチストのチューンをかけていた。
おそらく30曲以上のチューンをかけていたが、どのチューンもすべてフォワードを得たのでMatterhornもブース前でジャンプアウトッ!
次は2番手のMatsimelaが出てきて最初は何曲かのファンデーションをかける。
その後はBUZZリディムのジョングリンへ。
Matsimeilaは「King Agony」のことを「QUEEN AGONY」などと皮肉り、最初の標的に攻撃の火をつけた。
最後はまたファンデーションをプレイして彼らのラウンドはここで終了。
次は3番手のREBEL TONE。
彼らはなんとCDサウンドであった。
最初から焦った様子もなく落ち着いた態度でマイルドなファンデーションをかけ始めた。
いくつかブーイングもあったが、MCの合い間にチューンをかける、といったスタイルをずっとくり返し、途中でDUCKリディムのチューンを2曲ほどかけて、そのスタイルは最後まで続いた。
よい感じのラウンドではあったが、特に強いインパクトはなかった。
次の登場はSOUND TROOPER。
最初に「俺は2年間このワールドクラッシュを待ちわびていたが、ついにこの日がやって来た」と語り、まずはTROOPERの有名なダブ、MY WOMANリディムのチューンをかけ、莫大なフォワードを得た。
しかし2番手のサウンドMatsimeilaがすでにかけたGlen Washingtonの「Rise and Shine」をかけたためにブーイングが起きてしまう。
次の出番はここN.Y出身のサウンド、KING AGONY。
以前の'45 クラッシュで優勝した時のKilla Boの選曲とそれに合った鋭いMCは見事だった。
今夜の一発目はZION GATEリディムのWC2K2ネタに作られたJunior GongとJunior Kellyのコンビのスペシャルダブをかけ、会場から大きなフォワードを得た。
またELEPHANT MANのWCネタのチューン「Tall Up Tall Up」をかけ、それからDIWALIリディムでジョグった。
彼らも最後はファンデーションをかけ、このラウンドも盛り上がる。
次は日本からRed Spiderの参上。
オーディエンス達はRed Spiderが果たしてMighty Crownと同じなのかどうか非常に興味を持っていたようだ。
彼らが最初にかけたのはCOCO-Tのスペシャル。
しかし結局このラウンドはフラップ。
SICKリディムの古いチューンを何曲かかけてジョグったが観客達の印象は薄かったようだ。
最後の出番のBass Odysseyが現れると、AMAZURAにはストームが沸き起こった。
その日のSQUINGYのMCは、マイクマンとはどういうモノかを証明して見せたほどベストなものだった。
すごくエネルギッシュで、MCはポイントを押さえているし観客達も彼らのプレイに熱狂した。
SQUINGYはTrooperに向かって「迷彩服は着るな」と攻撃し、
Metterhornに向かって「お前のラウンドはWICKEDだった!何故ならお前のMCがなかったからな!」などと言い、オーディエンスもまたそれに大きく賛同していた。
それから Studio OneのREAL ROCKリディムでなつかしのDJ達のWICKEDなスペシャルをかけてジョグリンへ・・・。
他にも今年の最初にMighty CrownをKILLしたネタや
昨年のBiltmoreで起こったBountyネタのダブなどをかけた。
結局、ファーストラウンドはMattahornを抜いてBASS ODYSSEYがリード。
▼2nd Round...
2ラウンド目もMatterhornはMCなしのスタイル。
その後ようやくチューン紹介のためのMCを始めた。
オーディエンスの声に答えてBountyチューンをかけたが、このラウンドではいい反応が得られなかった。
ソロ時代初期の頃からずっとかけているスペシャルも数曲かけていた。
有名なものだとSizzlaやCapeltonの「Matterhorn's town」などがそうだ。
それからRAPアーチスト、50 CENTSのスペシャル(出場しているサウンドすべてをディスしたネタ)をかけ、それは莫大なフォワードを得たが、結局、2ラウンド目は1ラウンド目の時ほどは盛り上がらなかった。
次のMatsimelaは、またもやファンデーションチューンで始まった。
有名なビッグアーチストのビッグチューンをたくさん持っているサウンドのようだ。
彼らは多数のフォワードを得て、特にMCがよかったので、彼にはたくさんの歓声が上がった。
Bass Odysseyも所有しているJunior MarvinのダブやTelly Ganzieの「King Kong」もかけた。
このダンスで彼らは印象度をアップしたに違いない。
いいプレイを見せたのでオーディエンスからも支持を得ていた。
次の出番のRebel Toneは自信に満ちあふれた様子で
「俺達に失うものは何もない!」といいながら、何曲かのGanja manチューンをかけて、このラウンドが始まった。
Trooperに向かって「年が取り過ぎてて時代についていけてない」とか「古いチューンを使い回している」などと言ったり、
Matterhornに向かって「ジャンプ アップ スタイルのチューンはやめて勝負しろ」などと言って攻撃。
Rebel Toneは自国カナダのアーチストのTrooperのディス・ネタのチューンをかけ、Trooperが女のような歩き方をすると馬鹿にした。
またRed Spiderへのディスネタのチューンで彼らを攻撃。
このラウンドは彼の激しいMCの連続だった。
次はTrooper。
TrooperはMatterhornを落とそうとしたが、結局は自分が落とされる結果となる。
彼のかけたファンデーションチューンはJAROの時代のリサイクルものだったため、オーディエンスからブーイングが起きた。
それからテンポの早いHEVENLESSリディムのLiroy GibbonsのチューンとPapa Sanのクリスチャンネタのチューンをかけたが、オーディエンスの反応はなかった。
その後は昔のTanya Stephanのチューンをかけたが激しいブーイングが起きてしまい、彼がこのラウンドで落ちるのは明らかだった。
そこで今度はSICKリディムのリバイブで盛り返そうとしたが、ますますブーイングとなってしまい、TROOPERはこのラウンドで落とされる。
個人的な意見なのだが、どうしても理解できないことがある。
Trooperはキルネタのチューンを持っていたにもかかわらず、それらを使わなかったということだ。
これはTrooperにとってリスクが高い行為になる。
次はAgonyの出番。
もう一度書かせてもらうがBoのMCや曲紹介の仕方などを見たところ、将来的にも期待出来る。
このラウンドでかけたすべてのチューンはフォワードを得ていた。
最後には彼が作ったというスペシャルダブも聴けたが、それも期待は裏切らなかった。Trooper, Red Spider, Squingyに対して攻撃し、最後のチューンはElephant ManによるEminemの「Sorry Mama」チューン、そして「Sorry Maggie」で終わり、莫大なフォワードを得た。
次のRed Spiderはファンデーションで始まった。
このクラッシュは誰がビッグアーチストのビッグチューンをかけることが出来るかがテーマであるが、彼らの2ラウンドは1ラウンド目とほとんど変わらない印象だった。
ずっとブースの後ろに立ち、熱いVIBESを感じることもなければ、他のサウンドをディスすることもなく、結局このラウンドでふるい落ち。
次はSquingyの出番。
Bass Odysseyはまたもやこのラウンドも制覇。
昨年はARPとAlicia Keysのスペシャルをかけ、今年はそれに加えKelly & Nellyの「Love You」をかけフォワードを得たが、昨年ほどの反応はなかった。
出場サウンドに対するBountyのディスネタをかけたが、その中にはかつてBountyがディスしたことがないと言われているMatterhornのディスネタもあり、
また違うリディムのBountyもかけ、それらはすべてハイプなものだった。
SquingyはMatterhornに対して「ダブプレートをまとめてさっさと帰れ!」と攻撃。
これがきっかけで後にMatterhornは本当にその場から去るはめとなる。
DJ Markはいつものようにmixして、SquingyがそのチューンをMCで上げて、またもやAMAZURAの会場は彼らに撃ち落とされた。
結局2ラウンド目も彼らのリードとなる。
このラウンドでTrooperとRed Spiderが落とされたが、ここでMatterhornの判決も討論された。
彼も退場するべきだと会場からブーイングがあったのが、その反対で残すべきだという反論も起きた。
それの判決のために10分近くの時間がかかっていた。
Matterhornは退場するように言われたが、彼はそれに同意しなかった。
そこでこの日のホストのElephant Manがオーディエンスに問いかけたが何度聞いても同じ反応だった。
Matterhornは最後まで退場することには同意せず、かなり気が動転している様子だった。
結局彼はオーディエンスに「みんなが退屈になったら俺を呼び戻してくれ!」と言ってその場を去った。
▼3nd Round...
この3ラウンドでは「無理にフォワードさせない」また「罵らない」というルールで行われた。
ここで残ったサウンドはMatsimela, Rebel Tone, King Agony、そしてBass Odysseyである。
トリニダート出身のMatsimelaについては、私を含め多くのオーディエンス達がこのラウンドまで残るとは期待していなかったため、よけいに印象が強いであろう。
しかしMatsimelaのプレイはこのラウンドで少し煮詰まってきた様だった。
このラウンドのルールではオーディエンスにフォワードを要求出来ないため、彼らもただチューンをかけているだけという感じだった。
SOCAのスペシャルでビッグチューン(WHINING UP IN A BAND....JAMMIN ON A WOMAN)をかけてフォワードを得たが強いインパクトはなかった。
特に目立ったプレイもなかったのだが、NYの観客達を目の前に、自分達のやり方で自分達のスペシャルをかけ、このラウンドまで残ったというだけでも、私は彼らにRESPECTを送りたい。
ElephantとMatterhornは彼の判決についてまだ討論していた。
ElephantはMatterhornに自分のベスト3のチューンをかけるように提案したが、これが更に悪い結果となった。
まだMatterhornがその場に留まっているのでステージにはボトルが投げつけられ、オーディエンスのブーイングが起き始めたが、少数のオーディエンスは彼が戻ってくるようにと反論していた。
結局Matterhornはサイドラインに留まっていたがおもしろくない様子だった。
個人的にはMatterhornは落とさなくてもいいと思ったが、ルール上でそういう結果となった。
初出場のRebel Toneがここまで残った過程は本当によかったと思うし、たとえ残らなかったとしてもこのサウンドの悪い要素は何もなかったと思う。
彼はヘッドフォーンなしでCDをMIXして、何曲かのいいチューンをかけ、MCも最後まで続いた。
会場にいたオーディエンス達が後からカセットテープでこのラウンドを聴き直したとしても、彼らが特別すごいプレイをしたとは思わないであろう。
しかし彼らの本物の熱いvibesを感じるに違いない。
私から見たら、このラウンドが彼らの実力を証明したとも言える。
それはルールの上で行われたラウンドだったからというのもあるが、どっちにしても後でカセットテープを聴くなりして各自で判断してほしい。
次はKing Agonyだった。
このラウンドで彼らは煮詰まり始めた。実際のところ、彼らはいいプレイをしていたと思うが、このラウンドの「無理にフォワードさせない」また「罵らない」というルールはセレクターの本当の実力の見せどころでもある。
つまりKilla Boの3ラウンド目は前のラウンドの時のようにはいかなかったという事だ。
このラウンドのBoはあまり多く語らなかったのでジョグリンスタイルのようだった。
これは昨年のPanther(Black Kat)のプレイを思い出させた。
昨年のこのラウンドの時、Pantherは「Choooooo!」や「Yooooooo!」しか言わず、まったく話さなかった。
Killa Boはこのラウンドでオーディエンスに向かって「Put dem hands inna di air!!」(手をあげろ!)と言ったので不正な行為として失格となってしまう。
まだまだ彼は行けそうだったので残念だが、今後のAgonyの活動に期待したい。
次のBass Odysseyは今までとは違うリディムを使ってPinchersやLucianoなどのかつて聴いたことがないチューンをかけた。
それから他のサウンドがかけていないBeresのチューン(Kill dem ... Odyssey)をかけた。
Odysseyは最初のラウンドで彼らのテーマソングのCoco-TとSanchezのチューンをかけたが、このラウンドではそれのPart.2(Sanchezが「Go on without you」を歌いCoco-Tが「Mr Undertaker」を歌う)をかけた。
オリジナルほどのフォワードはなかったが正当ななジャッジの上でのフォワードだった。
結局このラウンドではMatsimelaとKing Agonyが落ち、Rebel ToneとBass Odysseyが残った。
そして次は45ラウンド、最後にDub fi dubの勝負となる。
▼Final...
このラウンドが始まると、オーディエンスから「Matterhornはどうするのか?」という声があがった。
Matterhornはとっくに退場のはずだったのだが、彼はステージの前に出てきてマイクを使い「みんな!もうこれにうんざりしたら俺をすぐに呼んでくれっ!」と言った。
Matterhornは1ラウンド目で自分は落ちていないと思っていたし、早くまたステージに戻ってみんなを楽しませたかったようだが、プレイすることは許されなかった。
結局、5分ずつの45ラウンドはRebel Toneから始まった。
彼らは先週カナダで行われた45 shootoutでも優勝したと聞いたが、この日の45ラウンドでも非常にいいプレイを見せた。
ファンデーションの45をかけたり、Matterhornに向けて「Yackity Yack....Don't come back」をかけて、オーディエンス達をうまく誘導するためにベストを尽くしていた。
一方のBass Odysseyは昨年の45ラウンドよりも今年はいいプレイを見せていた。
Squingyは完璧にチューン紹介をしていたし、古いチューンと新しいチューンをじつにうまくmixして見せた。
そして遂にChune fi chuneの時間となった。
このラウンドでは通常10チューンずつをかけて勝負が行われる。
このラウンドは本当に楽しめる時間でもある。
ここまでの段階ではすべてのラウンドにおいてBass Odysseyがリードしていたが、
このone fi oneでRebel Toneが襲撃にかかる。
彼らはファンデーションで攻め、Odysseyもそれに続いたが、オーディエンスはRebel Toneサイド寄りだった。
Rebel ToneがかけたAlton EllisとDawn Pennの「No..No..No..」
そしてLeroy SibblesのPARTY TIMEリディムのチューンはマッシヴ達から大きなフォワードを得た。
一方のBass Odysseyはいつもの通りのレギュラーチューンのScrewdriverやKen Boothe、Edi Fitzroyなどをかけた。
OdysseyはTomblinsをかけて攻めようとしたが、会場の若者のほとんどがそのチューンを知らなかった。
それからOdysseyはGernett SilkとLeroy Smartのチューンをかけて、すばやくPull it Upして会場から正当なフォワードを得た。
しかし結局はRebel Toneが今年のWorld Clash優勝サウンドとなり、すべてのトロフィを持っていった。
▼あとがき
Rebel Toneが優勝したことはRespectなことだが、彼らがまた優勝出来るかどうかは疑問なところだ。
新しいサウンドという面では1999年のWCで優勝したMighty Crownを思い出すが、彼らとはまた違った印象を受けた。
今回も最初から最後までルールがあやふやであった。
フライヤーに載っていたはずのルールは最初から見事にやぶられていた。
しかも3ラウンド目は8分間だった。
(8分間のラウンドなんてかつて聞いたことないぞっ!??)
45ラウンドとDub fi dubでは2サウンドしかプレイしてないと思うだろうが、
少なくとも3サウンドはプレイしているので聴き間違えなく。
新しいサウンドがどんどん生まれ、シーンの中に出てくるのは嬉しいことだが、今後ずっと続けていけるのかどうかが疑問なところだ。
プロモーター達はこの新しいサウンドのRebel Toneのブッキングをするつもりなんだろうか?
情報提供:dancehallreggae.com
(Kazumi@Ruff-Cut)